超硬合金工具やスプレーノズルの販売をはじめ、専門商社ならではの提案力で素材選定から特注品の対応まで、多彩なソリューションを展開するエバーロイ商事株式会社様。
同社は2023年10月、各部署に根深く残る紙書類のデータ化業務に「SmartRead」を導入しました。今回は、コア業務である受発注でどのように成果を出し、その成功をいかに営業から総務・工場へと広げていったのか、情報システム部の大和様、超硬営業部の井上様にお話を伺いました。
第1部|受発注業務 ― 押印商習慣で「画像」になる注文書を、確実にデータ化
導入に至った背景
押印のためにテキスト情報が失われた注文書が、日々の手入力負担を生んでいた
本社が工場を抱えていることもあり、同社の現場には以前から紙書類が多く残っていました。
加えて受発注業務では、お客様からのご依頼に担当者印を押印する商習慣があります。そのため、たとえ元がデータで作成された注文書であっても、一度印刷して押印し、スキャンやFAXで送られてくることになります。手元に届くのは文字を抽出できない画像で、テキスト検索が可能なサーチャブルPDFはほとんどありませんでした。
営業の各拠点では、メールや郵便で届く客先の注文書や図面を見ながら、必要な品名や個数を1件ずつ手入力していました。
デジタルデータ化の障壁となっていたのは、まさにこの「画像で届く紙」だったのです。
導入の決め手
「座標のみのテンプレート」では使用範囲が狭まる。複雑な表を読む「表抽出機能」が必須条件だった
「SmartRead」の選定にあたっては、他社製品を含めて計4社のトライアルを実施し、機能や価格、UIの使いやすさを比較検証しました。なかでも最も重視したのが、受発注や経理書類に多く見られる複雑な表形式のデータを正確に読み取る「表抽出機能」です。読み取り位置を固定する座標のみのテンプレート設定では、書類のフォーマットが変わったときに対応できず、使える範囲が狭まってしまうためです。
座標のみのテンプレートでは使用範囲が狭まってしまうため、表抽出は必須であること、あとは価格やUIの使いやすさなどを重視しました。テンプレート設定時に罫線内の範囲を簡単に指定でき、さくさく操作しやすい点が非常に良いと感じ、御社のツールを選定いたしました。
事前設定にかかる工程を大幅に短縮できるため、専門知識がない現場の社員でも迷わず使いこなせ、導入直後から即戦力として稼働できる点も大きなポイントとなりました。
超硬営業部 井上様
客先から届いた注文書をSmartReadで読み取り、品名や個数をデータ化していく。
導入の効果
品名入力を月約700〜1,000件省略。Excel抽出後は社内の関数で転記シートへ
現在、営業拠点ではメールや郵送で届く客先の注文書・図面から、入力に必要な品名や個数を読み取っています。Excelでダウンロードした後は、社内でさらに関数などを使って、後続で使用する見積や手配のための転記シートに適した形へ自動的に整形しています。
効果は数字にも表れています。
これまですべて手入力で行っていた受発注の品名入力について、月に約700〜1,000件(年間約1万件規模)の文字入力を省略できるようになりました。
「もう以前のやり方には戻れないですね。手入力していた頃と比べると、注文書が届いてから手配に回すまでの負担が全然違います。」
(超硬営業部 井上様)
第2部|全社への横展開 ― 営業から総務、そして工場へ
全社に広がっていた紙の課題
受発注だけではなかった。総務は経理書類の電子化、工場は紙書類のデータベース化
紙業務の課題は、受発注だけにとどまりませんでした。
総務部では経理関係書類の電子化とペーパーレス化の推進が、工場では既存の紙書類をデータベース化して情報の検索性を高めることが、それぞれ課題となっていました。
DXを推進するうえで、部署をまたいで使える共通のデータ化手段が必要とされていたのです。
横展開の決め手
「一部の拠点で止まった」前ツールの反省から、価格・UI・導入ハードルの低さを重視
同社が最初に導入したのは、別の会社のAI OCRでした。
表抽出ができる製品ではありましたが、1年使ってみたところ導入があまり広がらず、パッケージ価格に対する費用対効果が低いという結果に。
そこで再度ツール選定から検討し直すことになり、そのタイミングで参加したDXの展示会でSmartReadを知ったといいます。
この経験から、2度目の選定では「全社の誰もが使えるか」が重要な判断軸になりました。
テンプレート設定時に罫線内の範囲を簡単に指定できる操作性は、専門知識のない現場社員でも扱えることを意味します。
機能の精度に加えて、価格と導入ハードルの低さを備えていたことが、横展開を後押しする決め手となりました。
情報システム部 大和様(手前) 超硬営業部 井上様(奥)
導入の課題
プロジェクトチームを組成して全拠点へ。初回テンプレート設定は代行し、まず「便利さ」を体感してもらう
前ツールの導入時は、課題を抱えている拠点以外へあまりアプローチをかけておらず、結果として利用が広がりませんでした。その反省を踏まえ、今回はプロジェクトチームを整え、全拠点に対して説明会を開催し、案件を募集する形で展開を進めました。
新しくツールを導入するときには必ずありますが、やはり使い方が分からないのでとっつきづらいという壁を抱えており、初回テンプレート設定などはこちらで作業を代替し、とにかく便利さを体感してもらうことに注力しました。
運用面では、何でも相談しやすい雰囲気づくりを意識しています。
疑問や質問、エラー、困りごとには迅速に対応し、画面共有で実際の操作画面を見せながら説明することで、新しいツールへの不安感を解消。導入後も定期的なヒアリングを行い、新しい案件を確認しながらフォローを続けています。
また、どうしても読み込めない書類については、個別のカスタム設定を相談できたことが活用範囲を大きく広げました。
今までは罫線無しはだめだね、で終わっていましたが、既存のテンプレートで精度が出ない場合は相談させていただき、細かくカスタム設定をしていただいて通常では不可能なテンプレートでもご対応いただいているので、助かっております。
導入の効果
月間約1,300枚。営業・総務・工場の3部署で活用され、全社の共通インフラへ
現在、SmartReadの月間処理枚数は約1,300枚。
営業・総務・工場の各拠点で、以下のように多岐にわたる業務で活用されています。
- 営業拠点(受発注業務)
メールや郵便で届く客先の注文書・図面から品名や個数を読み取り、Excel抽出後に社内の関数で見積・手配用の転記シートへ整形
- 総務部(経理・総務業務)
FAXで届く銀行関係書類のOCR活用
- 工場(既存書類のデータベース化)
社内の既存書類をデジタルデータ化し、RAGのデータベースとして取り込むことで、製造現場における情報の検索性を大幅に向上
そして単なる作業時間の削減にとどまらない最大の成果として挙げられたのが、社員の意識改革です。
データ入力などの単純な定型作業から解放され、よりクリエイティブな業務にリソースを割けるようになった結果、現場から自発的に業務改善提案が生まれるなど、会社全体のDXマインドやモチベーションの向上に大きく寄与しています。
今後の活用展望について
RPA連携によるさらなる自動化と、AIによる判断の取り込みへ
今回の成功事例をモデルケースとして、今後はRPAなどのローコードツールとの連携をさらに深め、データ化から後続システムへの自動インプットまでを一気通貫で行う、より高度な業務自動化の構築を目指しています。
SmartReadは、同社のスマートファクトリー化や全社的なDX推進を支える共通インフラとして、今後も活用の幅を広げていく方針です。